タイムラインには、「がんは検診より予防が大事」が飛びかってて、げんなりする。
がんは基本生活習慣病なのでそんなことは当たり前で、そういうことばっかり私たちは仕事にしてて、そんでもがんになるから、検診を勧める。
検診行って良かったーって安心すればそれで終わりの人が多すぎるとか言ってるけど、行かないよりは行って安心した方がいい。行って見つかって治療が間に合えばそれでいい。
がんは予防できるものもあるよ。体質も遺伝もあるよ。原因があるものもあるよ。でも、ない事もあるよ。
ざっくり言うと、今年のがん検診の勧奨では、「90%のがんが、早期発見により治ります」って話してるけど、10%は治らないんだよ。
それでも90%の人に治ってもらうために、仕事をしてる。
でも、そもそもその100%にならないように、仕事をしてる。がん検診の勧奨は仕事の一部。
そして、私に救えない10%の人たちは、本人と家族と医療者の役割。今は臨床にいないけど、残された家族の側には、私たちの仕事もある。
そして、100%に入らないがん患者さんが、できるだけ少なくなるように、私たちはがん検診を勧める。
私の祖父が2人。
私の祖母が2人。
友だちが5人、お世話になった先生4人、病気がちな私に、手作りの野菜でご飯を食べさせてくれてた大学時代の寮の大家さん、みんな、がんで亡くなった。子ども時代に亡くなった人もいる。
親戚は上が70代から下が14歳、全部で4人が闘病中。
大切な親友、憧れの上司、大学の恩師、子どもを世話してくれた教会のおじいちゃん、生きてて良かったと思う人たちがたくさん、がんサバイバー。
がんの何がわかってて、検診より予防が大事の記事がリツイートされまくってるのか、と言いたくなる。今、まさに、病気と闘ってる人たちに失礼だ。予防できなかった自分が悪いとでも言いたいのか?とも取れてしまう。国民病のがんの既往歴がある人なんて、言わないだけでたくさんいるのに、その人たちを責めてるみたいで、腹立たしくもある。
みんながみんな、喫煙者で食品添加物にまみれてるわけじゃない。
この話題の中、検診を受けに行こうと思った人たちを、安易な考えだと冷めた言葉で切り離す必要性がどこにある。
「看護師だったら、見ときなさい。」
亡くなる半年前、祖母はお風呂場で、ナースになったばかりの私に、ストマ(人工肛門)の交換を私に見せて、やらせてくれた。
何度も手術したけど、腹膜全体に転移したがんは、真っ白な雪の日に、祖母を連れて行った。
仕事を辞めて祖母に付き添っていた私は、祖母のストマの最後の手入れをして、綿で埋めた。
料理の上手な祖母だった。海の幸も山菜も、祖母はなんでもご馳走にした。
私は祖母に料理は何一つ習わないまま。ストマのケアだけを教えてもらった。
もう1人の祖母は、母が14歳の時に、4人の子どもを残して、やはり、がんで亡くなった。
このブログ、プライベートを書くつもりで始めたのに、仕事のことばっかり書いてる、私。
こういうのを、職業病というのかな。